ボクとキミの夏の空
□不機嫌な黒猫
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人は失うことを恐れて
誰かを傷付ける…
◇◇◇
俺とアイツは正反対。
アイツ…とは数日前、仲良くなったクラスメート、山内空。
色素の薄い茶色の瞳に同じく茶色の髪。
活発そうな印象を受ける顔立ち(実際活発なのだが…)なのにも関わらず、意外なことにメガネをかけている。
本人いわく…コンタクトが合わないらしい。
昨日、メガネが壊れたとかで今日はコンタクトを付けてきた。
メガネをかけて無い山内に、クラスの奴らがたかっていたのを思い出して少し…複雑な気分になる。なんか一人取り残されたような気分。
教室で一人、机に突っ伏してる俺。
本来なら終わっているはずの、宿題も終わらない。
(‥‥‥アイツのせいだ)
妙に朝からつまらないのも、宿題が終わらないのも。
原因の山内はついさっきクラスの奴らと出て行ってしまった。
(くそっ…)
宿題を一緒にしようと、始めに言い出したのはアイツなのに。
待たされてる、俺。
(……)
前なら一人でも平気だった。
前の俺なら、だ。
「……何なんだよアイツ…」
うるさい位の教室が、なぜか静かに感じた…。
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