ボクとキミの夏の空

□変化しつつある僕らの関係
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同情なんて要らないから…



◇◇◇

何度目だろう。人を殴ったのは…。
手に残る生々しい感触も殴った奴らの叫び声も、口に広がる鉄の味も、みんな…いままで何回あじわっただろう‥‥‥?
こっちが喧嘩をする気がなくても、何かしら理由をつけて集団で殴ってくる。『転校生』なんて、馴染めればいいが、俺のように馴染めない奴はすぐに『イジメ』の標的にされる…。そんな奴を、助けてくれる人間なんて周りにいる訳なくて、俺はいつも一人だった。
殴るたびに手が痛くて、それでも殴られるよりはマシだと、自分に言い聞かせてきた。
…そうやって、逃げてきた。
今の自分から。そして、過去の自分から。
‥‥‥恐かった。
ただ…ただ恐怖だけが、体を動かしてた。

いま、また一人殴った…。

(もう、いい。早く終われ…)

早く、解放されたい。
『一人きり』の呪縛から。
そんな想いからか気持ちが焦って、手が空振りした。しまった…と思った時はもう遅い。集団の中の一人から殴られて、腹部に鈍い痛みがはしる……。
それに続くように次々と手や足が伸びてきて、身体中に更に強い痛みがはしった。
痛みのせいで、視界がぼやける。意識が段々朦朧とする中、誰かが何か言った気がした…。

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