ドリ長編
□Face to Face
1ページ/1ページ
私は星野 雪。大学1年生。19歳。高3の時、一生懸命勉強して、私のことを誰も知らない街で一人暮らししてる。何も考えたくない一心に大嫌いな勉強を必死にして、受かったんだ。ものすごく偏差値の高い東京の大学。。ここなら人を見た目で判断する奴はいない。。そう新しい気持ちでこの学校に通いだした。でも、一度閉じた心はそう簡単に開くものではなかったみたい。。。
私は家から近いコンビニでバイトしている。。親にお金の面で迷惑をかけたくないという気持ちもあり、あんまり人と長く接することのないコンビニを選んだ。決められた動作、お決まりのセリフ、そして作り笑い。でも『ありがとうございます』って言葉だけは気を抜いたことはなかった。私の一番好きな言葉『ありがとう』。この言葉だけは嘘をつかないって信じることができた。
〜〜〜上田SIDE〜〜〜
俺はKAT-TUNのU担当上田竜也。最近やっとデビューすることができたんだ。でもデビューしても俺はKAT-TUNの人。上田だっけ?中丸だっけ?ぐらいの扱いだった。亀梨・赤西はもう一躍トップスターで、少し距離さえ感じるようになった。そんな俺にも俺を取り巻く女の子たちはたくさんいて『かっこいー』『好きーー』『愛してるーーー』そんな心のこもってない声を毎日のように聞いていた。そんなある日の事だった。仕事も終わり、今日も心にはどこか満たされない部分を抱えたまま家路を急いでいた。途中でちょっとお腹がすいてコンビニに立ち寄った。いつものように店員さんの決められたセリフが飛び交う。
『いらっしゃいませ』。
俺は弁当とお茶を持ってレジに向かった。そこには大学生くらいの女の子がいた。その子はテキパキと決められているであろう動作を済まし、レジを済ました。
『ありがとうございます。またおこし下さいませ』
今まで聞いたことの無い響きだった。俺の心のどこかがポッっとあったかくなる。
だからつい俺も。。。
『ありがと』
そう返していた。初めてだった。見知らぬ人に『ありがと』って言ったのは…
ふと、その子の顔を見ると俺が『ありがと』って言った瞬間、驚いたようにすごくいい笑顔をしてた。特にかわいいっていうんじゃない。だけど心のどこかがあったかくなるようなそんな笑顔だった。これが雪との出会い。でもこのときの俺には雪がどんな思いでここに立っているのか想像さえできなかった。そう、このときは。。。。。