Novel

□想うのは・・・・・
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「はぁ・・・・・・・・・・」

やっと部活に復帰出来たというのに、最近の不二は溜息ばかりついている。

「どうかした?」
「あっ、越前君。」

球拾いの手を休めて、俺の方を向いた顔にはいつも通り―若干元気がない笑顔を向けてくれる。
俺は結構不二の事が好きだ。断わっておくけど、友人としてだからね。

「なんか溜息ばっかだけど。」
「ううん、大丈夫。」
「大丈夫そうに見えないから聞いてるんだけど。」

不二は隠し事がうまい。友人として付き合いだしてまだ1か月しかたってないがそう思う。

「そ、そうかな?」

ほら。図星をついてもほとんど顔色は変わらないし、声も上ずらない。ただ、瞳だけがちょっと動いて俺の方をなかなか見ない。これくらいだね、不二の嘘を見破る方法は。

「溜息ばっかり。・・・・・・・・・・そんなに部活退屈?」
「そんな事は・・・・・・・・あるかも。」
「同感。やっぱり部長達いないと、しまるもんもしまんないよね。」

昨日、修学旅行に行ってしまった3年の先輩がおらず、いつもの緊張感はあまり無い。
レギュラーの2年の2人と顧問がいないのも拍車をかけている。

「先輩達もだらだらしてるしね〜」
「越前君が声をかけて練習したら?」
「やだよ、強くもない先輩と勝負するなんて。」

そう言えば不二はくすくすと笑った。
やっぱり普通に笑う不二の方が好きだな。

「部長達・・・・・今頃何してるのかな?」
「ん?観光でしょ。修学旅行ったって、観光がメインなわけだし。」
「・・・・・・・・・・そうだね。」

ふと、気になった事があったからちょっとからかいの意味も込めて聞いてみる事にした。

「ねぇ、不二・・・・・・・・」
「何?」




「部長がいなくてさみしい?」




最近やたら部長が不二の事を気にするし、不二も部長をよく見てる。何気に仲も悪くなさそうだ。
だから、聞いてみた。たぶん、いつものように笑顔で返されると思ったんだけど・・・・・・・

「えっ!?そ、そんな事無いよ!!ぜ、絶対にないからね!!」

見て分かるくらい、動揺して否定された。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・えっ、図星だったの?
思わぬ事に、ついつい俺まで動揺して、何も言えなかった。
気まずい沈黙。はっきり言って耐えられない。

「あの「お〜い、越前!!何、不二をいじめてんだよ!!」

うるさい声に振り向けば、案の定笑顔の桃先輩がいた。後ろに海堂先輩と竜崎先生も見える。

「別にいじめて無いっすよ。俺ら、仲良しですから。」

ねっ。顔を見れば不二も頷いて必死にいじめられていない事を主張している。

「冗談だって。ほら、越前。練習するぞ。」
「うぃ〜っす。んじゃ、不二。今日は一緒に帰ろうな。」
「うん。」

お互いに手を振って離れる。先ほどの事は帰り道で問い詰める事にした。

「楽しみだな。」
「何がだ?」
「部長達のお土産。」
「あぁ、確かにな!何買ってきてくれるんだろうな〜」

のんきな桃先輩を放って、俺は先に行くことにした。

(今頃何やってるんだろう・・・・・・・・・)




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