Novel
□線香花火
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「ねぇ、手塚花火しない?」
不二のいきなりの誘いに、俺は静かに頷いた。
「なぜ、線香花火だけなんだ?」
「この間した時にね、余ったんだ。」
これなら、君としてもいいかなって思って。
そう呟いて、不二はろうそくに火をつけた。
「はい、手塚の分。」
「あぁ・・・・・・・・」
不二から受け取り、先に火を灯す。
その瞬間、弾けるように火花を飛ばし、光の華を作り出す。
目の前では不二も同じ事をして、ただその華を見ていた。
互いに無言で、何も喋らずない。
ただ、華が落ちるのを待ち続けた・・・・・・・・・・・
何本もの華を咲かせて、枯らせて・・・・
残りがわずかになった時に、不二は口を開いた。
「ねぇ、手塚・・・・・・こんな話を知ってる?」
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