Novel
□愛しい君
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休み時間。
手塚は廊下を歩いていた。
どこか急いでいる様子に何人かの生徒が振り返る。
その視線を気にせず手塚は不二の教室まで行く。
「遅い。」
どこか不機嫌な声に内心苦笑しながらノートを渡す。
「やっぱり手塚の所だったんだ。おかげで次の授業の予習出来なかったや。」
「すまない。まさか、紛れこんでいるとは思わなくてな。」
「あっそ。いいの?授業始まるよ?」
時計に目をやると確かにそろそろ戻らないといけない時間。
「じゃぁ、また部活「手塚、この前貸した消しゴム返して。」
いきなりの言葉に驚く。
「・・・・・今手元にない。次の休み時間にな。」
「分かった。」
仕方ない。と言う風に頷く不二に手を振ると自分の教室に向かう。
◆◇◆◇◆
今日も休み時間は全て不二の元に行くので潰れた。
昼休みは本を読もうかと考えていたが、いきなりやってきた不二により購買まで付き合わされて(財布を忘れたためらしい。)、いつの間にか潰れていた。
日直の仕事を終え少し遅れて部室に行くと、すでに着替えた不二が不機嫌そうな顔で座っている。
「遅い。」
「すまなかった。」
「そう思うなら早く来れば良いだろ。」