Novel
□離さない
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部屋でアルバムの整理をしていた不二は一枚の写真を見て微笑む。
「わぁ・・・・・懐かしい・・・・・・」
初めての文化祭の時の写真で、まだ幼さが残る手塚と不二が並んで写っていた。
不二はアリスの恰好、手塚はうさぎの恰好をしていた。
「ふふふ。」
「楽しそうだな。」
「うわっ!」
いきなり声をかけられ、不二は驚いて声をだす。
振り向くと恋人である手塚が立っていた。
「手塚!?」
「お姉さんがいれてくれた。チャイムをならしたが、聞こえてなかったか?」
時計を見ると確かに約束の時間を過ぎていた。
「ごめん、アルバムの整理してて。」
床に散らばる写真を見て手塚は納得する。
「・・・・・懐かしい、写真だな。」
不二の手元にある写真を見て微笑む。
「だよね。」
並んで座るとしばらくの間、写真を眺める。
夏の大会が終わり、大和部長達3年生が引退した秋。
もうすぐ、文化祭が始まろうとしていた
。
楽しそうに準備をする人たちの中に、一人うかない顔をする不二。
「文化祭・・・・・中止になれば良いのに。」
不二は別にお祭り騒ぎが嫌いなのではない。
逆にとても楽しみにしていたのだ。