Novel
□卒業旅行
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「あれ?」
家に帰って郵便受けを見ると、真っ白な封筒が1通。
差出人が書かれていないそれを取り出し、誰宛てかを確認する。
きっと、母さんか姉さんあたりだろうと思いながら裏返す。
『不二周助様』
「へっ?」
思わず口から出たまぬけな声。
シンプルないかにも大人が使いそうな封筒のため、母さんか姉さん宛てだと考えた。
なのに、それには確かに自分の名前が書いてあって。
僕は玄関先で、封筒を見たまま立ち尽くしていた。
次の日の午前中。
休日なのにも関わらず、不二は学校にいた。
「ごめんね、呼び出しちゃって。」
「気にすんなよ、不二。」
謝る不二の周りには、共に全国大会で闘った仲間がいた。
海外に留学した手塚を除いた・・・・・
「で、それが例の・・・・・」
「うん、そう。」
不二は近くにあった机の上に、例の封筒をのせる。
少し気味の悪いそれを皆に相談した結果、集まることにしたのだ。
「中身はなんだったんだ?」
河村の問いに、不二は何も言わずに封筒を逆にした。