◇ジロ跡text【2】◇

□what would U like FOR Christmas?
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「‥あ、イヴおわっちゃった」
どこか残念そうな慈郎の言葉に、シーツに突っ伏していた顔を上げると、枕もとのデジタル時計には【25 Dec.】の数字が目に入った。
時刻は0時を僅かに過ぎていた。
ただ、おそらく腫れた目元と喉が、ヒリヒリと焼けるように痛いと自覚した跡部は、深い吐息を吐くと荒淫に塗(まみ)れた空気を取っ払おうと、冷えた自らの指先で自分の頬を覆った。
「起きてたらサンタさん来ないかな」
「そうだな、寝ろ、‥つうか、も、抜け」
「…でも俺まあだ、眠くねえし」
そう言って、改めて腰を掴みなおすと、熱さを保ったままの体内に包まれている自らの自身を引き抜き、再び差し挿れた。
「っ…、‥ねっ眠ってりゃ‥アッ、ミンスパイもあることだし…、来てくれっから」
「でもサンタさんよりあとべのがE!‥ねぇ、ヤ?」
慈郎は、腰を折って、背中から抱きしめている跡部の肌にひとつ、音を立ててキスをした。
その途端小さく身体を震わせた跡部に、口を笑みの形に変えて、強引に、それでも丁寧に、彼の身体を反転させようと動く。
「うア……っ!」
「ごめん、でも、もっとカオみして」
跡部としては、受け入れているものの存在に圧迫を受けるため、如何に優しげな仕草だろうが苦しいものは苦しいのだと、それから、あれでまだ満足してねえのかと文句を言おうと口を開いたが、それも直ぐに、降ってきたキスの嵐に呑まれてあやふやになってしまった。
今までの跡部には、慈郎のような、または級友のようにクリスマスの夜に、「恋人」に起因した想いを馳せる習慣はあまりなかったが、彼らの言う特別な夜というものを、こうして慈郎と過ごしているのは悪くないと思った。
「ね、ヤじゃないっしょ‥?」
「‥ばあか」
顔を寄せて尚、訊ねてくる慈郎に、跡部はひとつ悪言を吐くと、慈郎の首元へと両の腕を回し引き寄せては、甘い甘い口付けを贈った。


END.
「what would U like FOR Christmas?」
20071224

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