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□知らないほうがいいこともある
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「ねぇ、裏葉は緑鬼の生まれ変わりなんでしょう?」
私がそう聞くと、彼は楽譜から目を逸らさずに答える。
なんでも次のコンクールの課題曲らしい。
「それがどうかしたのか?」

「私は誰の生まれ変わりなんだろうね」
少し間を置いて言っても、彼はすぐに答えてくれる。
相変わらずこちらは見ないけれど。
「さあな。」
そんな彼の態度が不満で、少しだけ反論してみる。
「裏葉は知ってるくせにっ」
彼は荷物をまとめて立ち上がり、私の頭に手を置いて言った。
「お前はまだ知らないほうがいいんだよ」

いつもこの言葉にごまかされてる気がする……;




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