過去拍手

□君の未来派は
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『君の未来は』(銀魂:高杉)


※固定ヒロインの子供の頃のお話。


「晋助・・・はや平気やき下ろしとうせ」(もう平気だから下ろしてよ)


背中に感じるちっこい温もり。


オレの首に回す腕に力を籠め、肩越しに顔を出してきた。


「・・・そんなに足首腫らしといて、よく言うぜ」


その顔に視線を移す事無く、ただ前を向いて歩き続ける。


秋の夜道。


月が綺麗だと、ふらふらと夜道を歩きだしたコイツは


予想通り・・・視界の全てを月へと注ぎ、木の根に気づかず見事に転び・・・


足首を腫らすほど、痛めたのは・・・つい今しがたの事。


すすきの穂が、きらきらと月の光を反射して白っぽく道を浮かび上がらせる、そんな夜道を背中にチビスケを背負って歩く。


「ちくっと捻ったばあやき、平気やか」(ちょっと捻っただけだから、平気だよ)


「・・・ほー、もう治ったのか」


小さな体が落っこちないように、しっかりと太股に回していた腕に更に力を込め、その場で大きく月を視界の端に入れながら膝を曲げて飛び跳ねた。


ぽんと跳ねた二人の体。


オレの体の後からついてくるような感じで、ワンテンポ遅れて背中に感じる衝撃。


どすんっ


「うっ・・・」


聞こえた声は確実に痛みに耐えている声。


『・・・お前は黙って背負われてろ』と思いながら一度体を前に倒し、背中に乗っかる体を背負い直してから


また月明かりだけの夜道に足を進める。


「う〜・・・痛いがやないかねっ晋助!何するがよっ!」


怒ってペチペチと背中を叩くチビ。


「あ?もう平気だって言ってたよな?何だ、まだ痛かったのかよ?オレはお前の言葉信じたからよー・・・悪かったな・・・くくくっ」


背中に乗っかるチビが今どんな顔をしてるのかと思い・・・最後は声に出てしまった笑い。


とんでもなくバツの悪そうな顔をしてるに違いねぇ。


「く〜・・・晋助の根性悪!お・・・重いと思おったきにゆうた乙女の心遣いバカにしゆうか!」


「誰が乙女だって?オレの背中には乙女の胸の膨らみ、ちっとも感じねぇーけどな・・・って、ちょっ・・・ごほっ、それは止めろっ」


ぎゅうぎゅうと途中から気管を塞がれ、上手く出なくなった言葉。



「ごめんやーは?晋助が『ごめんやー』ゆえば、許しちゃる!」


小さな手でオレの首を絞めながら、どこまでも強気な女。


お前のそんなとこが


オレを・・・


オレを狂わせんだよ?


わかってねぇーだろ?


苦しさが、ある意味快感に感じられる中


目の前にチラつく細い白い腕に


ドクリと騒ぐオレの血。


堪らないとばかりに、息が切れる中・・・


唇から突き出した舌で舐め上げ


白い肌に歯を立て噛み付いた。


「痛っ!ちょっ晋助痛い!」


ばっと首に回していた手は離れ、オレの視界から消え去った。


「・・・オレに背負ってもらってるってーのに、我儘ばっか言うお前に・・・仕置きと・・・」


ゆっくりと首を背後に回し、顔を見れば


チビのくせに・・・顔を真っ赤に染め上げやがって・・・


今からそれじゃー・・・やっぱオレのもんだと


「お前の未来は・・・オレのもんだと、今から証(あかし)を残しとかねぇーとな」


しっかりと何かを残しておかねぇーと思っちまうオレは


相当イかれている。


手放しはしない・・・


お前の未来は絶対にオレのモノにしてやる。


「しっ・・・晋助?何の話なが?って私の未来は、私のがやか!覚えちょりよ、キュッ、ボン、キュッになって皆を驚かせちゃる!」


いたた・・・とオレに噛まれた痕をさすりながら拗ねる。


「・・・そりゃ皆驚くわな・・・胸は膨らんでねぇー上に、腹が出てて、尻がヘコんでる女ってか?」


「・・・え?あっ!言い間違えちゅう!ボン、キュッ、ボンじゃった!」


あわわ!とさっきより顔を赤く染める・・・お前の未来は


必ずオレの手の中に


君の未来は・・・


おしまい


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