dream
□涙よ三秒だけ止まれ
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卒業式。
学園の門に向かうあなたの後ろ姿をみつけた。
もともと遠い存在だったあなたが、もっと遠くに感じた。
淋しい、悲しい、もっと一緒に過ごしたい。
言ってしまえば楽になれるのかな。
言えたらいいのに。
だって、きっと、もうちゃんと会えなくなる。
あなたは真っ直ぐに前を見つめて、門を出ようとする。
あぁ、まただ。
また私はあなたの背中を見つめることしか出来ていない。
自分が傷つくことを恐れてる。
だけど、もう今しかない。
あなたに伝えなくちゃ。
「先輩!」
口が頭よりも先に動く。
思考がなかなかついてこない。
全身の震えが止まらない。
あなたは振り返り、愁いを帯びた瞳が私を捉える。
「好きでした」
どうかお願い、涙よ、三秒だけ止まれ。
私、ちゃんと笑えてる?
→あとがき