刃に咲く紅
□第二章
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早く休めるような所を探さなきゃ―…
何かに急かされるように歩き出す。
また風がざわりと頬を撫で、周囲の木々を揺らす。
か細いライターの炎がまるで柳の葉のように揺らぐ。
怖くない怖くないと自分に言い聞かせて聴覚を遮断しようとすればするほど、風の声が鼓膜を震わした。
―ガササッ
「きゃぁあ!」
突如、激しい葉音がしたと思ったら、足元を何かの気配がすり抜けていった。
瞬時に飛びのいたあたしは躓いて派手に転ぶ。
倒れる寸前、反射的に広げた手のひらから光がこぼれ落ち、消えた。
「―っ…!」
あまりに咄嗟の出来事と痛さで声にならない声を漏らす。
両の手のひらは地面をとらえている。
どこをぶつけたのかよく分からないが、数ヵ所にずきずきと痛みが広がった。
「う、そ…やだぁっ、どうしよ…っ!」
真っ暗闇に放り込まれ、あたしは半狂乱で叫んだ。
視界を黒で塗りつぶされ、一気に取り乱してしまう。
ライターがない。
暗すぎて目を凝らしても凝らしても、地面など見えなかった。
地面をまさぐるように手を動かした。
「どこ……?どこにあるの!?」
誰もいない、何もない闇の中であたしは思い切り泣きべそをかく
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