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□sign
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「ふーっ、なんか疲れたな」

「おぶってたの、俺なんだけどね」

辺りはもうすっかり黄昏に包まれていた。
いつもと変わりないはずの街路樹が、木枯らしにカサカサと音を立て葉を落とす様が、今日は何故だか特別に感じられた。

ふと、夕焼けを浴びて輝く久保田を見て、時任は胸が騒いだ。
その姿が、一枚の絵のようで。

「なぁ、くぼちゃん。
くぼちゃんは寂しくて泣いたこととか、あるか?」

それは、木枯らしに揉まれる落ち葉と一緒で、ボロボロになりながら、どこかへ流れていきそうな予感を漂わせている。

「…なんで?」

「くぼちゃんが泣いてるとことか、想像つかねぇなぁって」

「………さぁね」

「…そっか。
なんかそれ、寂しいな」

「………なんで、お前が寂しいのよ。

どんな感じ?」

「んー…、あ、距離、感じる。」

「…うん。」

「寒いのと似てるかもな。
無性に、誰かにそばにいて欲しくて、暖めて欲しい。
俺も誰かの温もりになりたい、必要とされたい、ってな」

「………強いね」

その、久保田の一瞬の逡巡を、時任は見逃さなかった。

「お前が何考えんのも自由だ。
思ったことは言え、なんて言わねーし。

…けどよ、もちっとくらい、ワガママになれよ。
じゃないと、俺が嫌だ」

「………じゃあ今晩は、新しく発売した、チョコレート味のスイーツ鍋がいいなぁ」

「げっ、…てか、そーゆーことじゃなくて!」

「んー?
これ、精一杯のワガママなんだけどな…」

「ああ゙ーもうっ、分かったよ!
…ノセやがって」

「あれ。
案外むずかしいなぁ、ワガママって」








ボロボロになって流れていく前に

せめて、僕の心に
一枚、君を飾らせて

ほんの少しのシグナルも、見逃したくないよ






fin.
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