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□code:rain
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「(なんか…クるな、これ)」



久保田のささやかな反応は、だが時任に火をつけるのには充分だった。
自分の方に居直った久保田の顔に、ここぞとばかり、時任は不躾な視線を浴びせる。
緩やかなカーブを描いた眉。
筋張った頬骨。
迷い無く通った鼻梁。
きゅっと結ばれた、物淋しげな唇。
起きているときには分かりづらいが、精悍、という言葉がまさに似合いだ。
そのまま視線を下に落とすと、ぐっと存在を主張するのど仏、はだけたシャツからのぞく綺麗に浮き上がった鎖骨が、時任をさらなる誘惑へと駆り立てた。



「美味そ…」



熱にとりつかれ、譫言のように呟くと、形をなぞるように、骨に沿って指を這わせていく。



「ふっ…ン……」

「たまんネ…」



時任の動きにあわせて、久保田の唇から、切ない吐息が漏れていく。
相手が寝ているとは言え、自分よりも体格のいい、屈強な男を征服しているという言い知れぬ心地よさが、時任を支配していた。



「も、限界…」



犬にしてやるそれのように、久保田の下顎をなで上げていた時任だったが、こみ上げる衝動のまま、上半身を片肘で支え、そのまま喉元に噛みつこうとする。
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