駄文(短編)

□落とし物にご注意
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さて気を取り直してお次は何処へ向かおうかとぼんやり考えていたら前方の中庭から『ぬぅん!!』と聞き慣れた凶悪な声が耳に届いた。


ガキィンッ


耳をつんざくような金属がぶつかり合う音がいやに近い。

そーっ壁から顔を覗かせるとそこはまさに戦場だった。


荒れ果てた花壇は無惨にも踏みにじられた跡や焼かれた跡、さらには弓まで突き刺さっている始末。

そのお陰で埋まっていたピクミンは虹色に輝きながら天へと昇って行く(あーあ…オリマーのストック用のピクミンが)。


「でやぁっ!」


「甘いっ!」


「なら…これはどうだ!」


「ふ…読みはいいな」


わけわからんこと言ってんじゃねーよ。


未だに奮闘するリンクとアイクは全く状況を省みない。


乱闘とか修行ならばステージに行ってやってこいよ。


と言ってやりたいがとても割り込める状況じゃない。


爆発音はするし、剣がぶつかり合う音もするし、飛び込むなんて自殺行為に等しい。


さて、どうしたものか…。






悩んでいたその時



「プ〜プリ〜プ〜プリ〜プ〜プ〜リ〜プ〜」


何とも感想のつけがたい歌が聴こえた。


振り返るとこっちに向かってくるピンク色の耳つきクリンとした生物発見。


玩具のマイクをしっかり握ったそれはあたしを見るなりプリプリ言って駆け寄ってきた。


「プリン…今日も歌ってんね」


とここでピーンと来た。


プリンの歌を聴かせればあの2人と言えども止まってしまうだろう。

ニヤリと笑みを浮かべあたしは不思議そうに見上げてくるプリンにそっと耳打ちをする。


「…と、言うことであの迷惑な2人にプリンの美声を聴かせてやっておくんなさいな」


「プリッ!」


短い手を目の上にシュタッとくっ付けて了解と言わんばかりにプリンは短い足で駆けていった。

トテトテ駆けて行くプリンを見守りつつ、被害がないように両手で耳を覆った。

無音の中、プリンに気付いた2人の驚きに満ちた表情が次第にトロンと虚ろになり、ズルズルと地面に崩れ落ちる。


その様子に気付いていないのかプリンは上機嫌に歌い続ける。


何度もやめるように首を振るがプリンは気付いてないらしく歌い続ける。

やはり聴こえてしまう歌声に思考が鈍って行く。


もうだめ…と迫り来る睡魔に身を委ねようとした丁度その時にピタリとプリンは歌うのをやめた。


「…?」


何事だと思い顔をあげるとプリンは星になっていた。

詳しく言うと跳ねられた(リンクとアイクも)。


言葉通りにファルコン(の乗っているアレ)に。

星となって青空に消えていった光景に思わず目を見開いてしまった。そのままあ然としていた隙にファルコンは何事もなかったように去っていってしまった(ひき逃げだ)。


「大丈夫か。あれ…て、あぁ、脅かすの忘れた…」


握りしめた仮面を見ながらターゲットがことごとく見つからないことにため息をつく。




大人しくメタナイトに返してやろうかなー、なんて考えていたら


青空から丸い何かが翼を広げて降りてくる。


漆黒の翼がフワリとマントに早変わり


ジャストタイミングで本人登場




「…ぶっ!!」




だったが思わず噴き出してしまった。


仮面を落としてしまった彼の変わり果てた姿は何とも酷いものだった。


彼自身それを承知してるようで押し黙っている。




「あはははははははははっ!ど…何処の民族?…マサイ族?」


「………」


そう代わりの仮面なのだろうそれは何処かの民族が儀式に使うんじゃないかと思えるような羽が付いていたり、縦長だったり、奇妙な作りのものだった。


爆笑するあたしにスッと短い手を差し伸べて一言




「返せ」


よっぽど不機嫌なのだろう。棘のある言い方だ。


彼の短い手があたしの手にある仮面に触れようとした瞬間ヒョイと仮面を移動させる。


ムッと奇妙な仮面(スペア?)からギラギラと睨む目を見ながらあたしは2、3歩距離を取った。


それからニッコリ笑って


「いーじゃん。それさぁ!もうちょいそのままでいなよ」




悪戯っぽくペロッと舌を出した後に方向転換して駆け出した。


『あ!待て!その仮面を返せ!』と慌てるメタナイトの声が中庭全体に高く響き渡った。


当然ながらその後メタナイトはみんなから弄ばれたのだった。



え ん ど


 
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