●Novel・OTHERS●
□rain and the sun and the water
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「あれ?」
「あ…」
オレとしたことが。
参ったねーこりゃ…
会いたくない子に会っちゃったな…
心の中で、つぶやいた。
いや、聞こえていたかもしれない。
露骨に、顔に出ていたんだねー、きっと。
「え?」
見るからに純朴そうな少女。
そう、苦労を知らずに育ってきて、箱入りの…
不思議そうな顔で、覗き込まれた。
「こんにちは。以前、お会いしましたよね?」
あどけない瞳が、痛く俺に突き刺さる。
「あー…あははは…そうだっけー?」
つい、いつものクセで、かわしてしまう。
かわし切れるか?オレ…
「あれ?忘れちゃったんですかぁ?私、白石陽菜です。郷で、お会いしましたよね?」
…ちぇっ…
どうやらこの女、ただのバカじゃないらしい…
オレは、大きくため息をついた。
なんで、こうなっちゃったんだろうねぇ〜