●Novel・OTHERS●
□新幹線大作戦!
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「あれ。お子様ランチは無いんですか…」
桜蘭高校の食堂の前で、ハルヒがぽそっと呟いた。
たまにはハルヒにご飯でも☆と息巻いていたホスト部1、2年の面々は、耳にしたことがない単語に恐れおののいた。
「お子様ランチ!?」
すぐさま集まり、ぼそぼそと小声で話しこむ、1年双子とホスト部キング。
「お子様って…」
「そりゃあハルヒは体型こそお子様だけど」
「ランチまでお子様って」
「ねぇ〜」
まるで、井戸端会議の奥様方よろしく、ひそひそ話に花を咲かせている。
ちなみに、3人が「井戸端会議」という単語を知っているかどうかは定かではない。
ちらっ・とこちらを見ては大きくため息をつく3人に、ハルヒはなんだか怒りを覚えた。
「ちょっと。聞こえてますよそこ…」
ぎろりと睨みつけるさまに、環が飛び上がる。
「母さんや!ハルヒが怖いよ〜」
「怖いよー」
面白がって、双子も続く。
こういう態度が怒りを助長させるのだと、なぜ気付かないのだろう。
そんなハルヒの心中を察してかどうなのか、ホスト部の母、もとい影の支配者・鳳鏡夜が口を開いた。
「ふぅ…」
面倒くさいというように、メガネをくいっと上げなおすと、一気にまくしたてた。
「お子様ランチとはだな、ひとつのお皿に何種類かの料理が乗ってる、一皿で何倍も楽しめる料理の一種で、金銭的にたくさんのものを食べれない庶民が一生懸命工夫して世に送り出した、美味しいものを少しずつ、という、なんとも庶民的な考えの食べ物のことだ」
「庶民ランチ!」
「おぉーー」
パチパチパチ
約3名から、どよめきと歓声が沸きあがる。
「なんか、腹立つんですけど…」
こうも庶民庶民と連呼されては、否が応にも気分が悪い。
先刻うっかり口にしてしまった単語を、ハルヒは心底後悔した。