SS

□焦げる音
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さぁこの感情にどんな名前を当てはめようか?
柳生の香りが残るタオルをベッドに持ち込んで、これからする行為にイヤラシイ想いを馳せた。



気になる奴がいる。
それは一言で言えば好奇心。けど一言で済ますには何か足りない。
憧憬、思慕、愛情…
そのどれもが当てはまるようでどれもしっくりこない感情。
ただわかっているのは自分がその感情に「執着」してるということ。

―キモチワル。

自分で出した答えなのにそれが余りに自分に似合わなくて、自嘲的な笑いがこみあげてくる。
執着など今までの自分から一番遠いものだったから。

小さな頃から異性に囲まれて育った。同級生は勿論、上級生や時には大人でさえ自分に色目を使うのがわかった。
その反動か自分から異性に興味を示すことはなかった。興味があるとすれば体だけ…雄の本能で雌を食らうことはあったが所詮本能、そこに恋やなんだと感情が入る訳じゃない。


かといって同性愛者かと言えばもちろん違う。
ただ自分はナニモノにも揺れ動かされないモノなのだと漠然と思っていた、

柳生に会うまでは。
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