SS

□ニオウくんのバレンタイン 1000hit御礼!
1ページ/3ページ

二月、と言えばバレンタイン。日本では女子が男子にチョコレートを渡す日。

のはずが……


―なんでオレがこんな所に……

普段なら避けて通る場所であるはずのチョコレート売り場に佇んでオレは途方に暮れていた。


きっかけは勿論柳生。
あいつがバレンタインにオレからチョコが欲しいとか言い出してきたので、無論オレはそんな阿呆な考えは一蹴してやった。
あぁ却下したはず。なのに…

「じゃあ期待して待ってます」
とかある日突然にこやかに言われて。
当然抗議したオレに、あの変態は携帯を見せて曰く、
「昨日OKしたじゃないですか」
と携帯を操作していつの間に録音していたのか、昨日の事の最中の会話を聞かせる。
それは普段の声質と違うと言えど紛れもない自分の声で……確かにはっきりと了承していた……


―あの卑怯もんがっ!
甘い匂いが立ち込める売り場に立ちあの時のことを考えれば考えるほど怒りがこみあげてくる。
よりによって事の最中に意識がはっきりしてないのをいいことに!しかも録音まで…なんと手の込んだことか。

―いっそ毒でも混入させたろか…

余りの怒り具合に殺意まで芽生えそうになる。
が、

「ニオウくんの手作りチョコが食べたいんです…」
脳内に数日前の柳生の言葉が響く。
まるで女子のようにべそをかいて。
それを見て、その時も今も怒りは消え去って、
「…残したらシバくからなっ」
「!はい」

チョコを作ろうと思わされたのだった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ