LONG
□【義理チョコなんか要らない。何か惨めになるから。情けなんか要らないから!!(執筆中)】
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キーンコーンカーン…
朝、HRの始まりを知らせるチャイムが鳴り響く。
廊下を安物スリッパでぺたぺた鳴らすこの男は"坂田銀八"。
3-Zの担任である。
教師にあるまじき、まるでやる気の感じられない赤みがかった瞳とずり落ちたメガネ。
そして特徴的なのは髪。
色素の無い銀髪・天然パーマ。
身につけるのは白衣。
別に理科担当では無いが、これは本人曰くメガネも合わせ、「頭良さそうに見えるから」らしい。
ちなみに担当教科は国語である。
ガラリと音を立て、教室に入る。
「は〜い、ギャーギャーギャーギャーここは動物園ですかコノヤロー。」
さっきまで騒ぎに騒いでいた3-Zの連中も、銀八の一言で全員大人しく席につく。
何故か生徒には慕われているのだから世の中は不思議だ。
「え〜突然ですがァ、持ち物検査するから全員鞄を机の上に置き、手を頭の上で組むように。無駄な抵抗は辞めなさーい。」
さっきまで大人しくしていた3-Zの面々も銀八のあまりに身勝手なこの言葉にブーイングの嵐である。
「あ〜もうブーブーうるせぇな!!今から口開いた奴百人一首音読しながら校庭10周な!!」
一瞬しんと静まりかえったが、ここで一人の生徒が立ち上がった。
「先生!!」
志村新八。
脱線しがちな3-Zをまとめるツッコミ役。
このクラスで唯一普通の生徒と言っていいだろう。
新八は銀八に反論する。
「先生、いきなり持ち物検査なんて無茶な事言わないでください!プライバシーの侵害です!!」
新八のもっともらしい発言に3-Z全員が「そうだそうだ」と合唱する。
大体銀八は持ち物検査なんて今の今までしたことがないし、銀八自身持ち物検査には反対するような性格なのである。
おかしい。
「先生、もしかして…」
新八は心に何か引っかかるのを感じた。
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