STORY(跡不)

□対戦
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メンバー票が交換された。

(不二が出ない…!?)

渡されたメンバー票に不二の名前が無い。確かに青学はレギュラー誰を見ても申し分ない実力を持っている。しかし、不二は2だ。他のメンバーよりはるかに実力は上だ。

(甘く見られたもんだな…ふん、このメンバーで臨んだこと後悔させてやる!)



試合は互角。
不二無しでよくここまでやったと褒めてやろう。
だが、勝負はこのゲームでつく。俺様の勝ちだ。
悪いな不二、お前の悲しそうな顔は見たくはないが、これも勝負だ。
手加減などしない。
この日の為に技に磨きをかけてきたんだ。
あのチビか。相手に不足はないぜ。ただ…

「勝つのは俺様だ!」



…こいつ、こんなチビのくせに、一体どこにこんなスタミナ隠してやがる!
お互い一歩も譲らない…
どんなにポイントを取っても追いついてきやがる…
俺に一歩も引けを取らないこいつとの試合は、俺を本気にさせた。燃え立たせた。ゾクゾクもした。
だが今は、来た球を打ち返すのが精一杯だ。
打ち返せなければ負けだ。
どんな球だって返してやる。
あいつも同じ思いのようだな…
負けるものか!!

気力だけで戦っているようなものだ。
救いを求めるかのように青学ベンチを見た。しかし、
不二が…いない!
俺の試合を見ていてくれたのではないのか…
一瞬の気の緩みが、限界をとうに超えていた俺から意識を奪った…

試合がどうなったのか覚えちゃいない…
気がつけば医務室のベッドに寝ていた。
チームメイトが囲むように立っていた。誰の顔にも笑顔はない。
樺地が一言
「負けました…」
と言っただけだった。

敗者はもうここには用が無い。

「帰るぞ」

まだ少しふら付く俺に樺地が手を貸してくれて帰り仕度を始めたところに、扉をたたく音がし、青学の手塚が入って来た。

「気がついたか跡部。」

「ああ、心配かけたな。もう大丈夫だ。あのチビはどうした?」

「越前はもうひと試合出来そうなくらい元気だ。お前を坊主にすると張り切っていたぞ。」

「底が見えないチビだ。恐ろしい奴を青学は手に入れたな。」

「ああ」

「手塚…」

「何だ?」

「なぜ、メンバーに入っていなかった?」

「…不二か?」

「そうだ。まあ、あいついなくても勝つ自信はあったんだろうがな。」

「勝つ自信は、はっきり言って半々だった。確かにうちの連中は意識が高いし、努力を惜しまず目に見えて実力をつけてきた。だが、不二には及ばない。確実に勝ちを狙うなら不二は外せないだろう。」

「じゃあ何で入れなかった?」

「外せと言われた。」

「あーん?」

「勝ちたいのなら、外せと不二に言われた。」

「どういうことだ?」

「不二は迷っていた。比嘉までは迷いもなくテニスをしていた。だが、氷帝が相手と決まったときから勝利への執着に困惑し迷いが生じた。」

「…」

「なぜか…」

「なぜだ!!」

「それは…本人に聞いてみろ。」

「?」

ドアの陰にいつから居たのか不二が立っていた。

「ゆっくり話して来い。」

不二の肩を軽く叩くと手塚は医務室を後にした。

「跡部…あの…」

「聞かせてみろ、話とやらを。」
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