STORY(パラレル)

□僕のテニス
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「ねえ、お姉ちゃん!この人凄い!日本人でもこんなに強い人いたんだね!」

ウィンブルドンをテレビで家族揃って観戦していた。
父親の仕事でロンドン郊外に一家は住んでいた。テニスは人気スポーツだ。ウィンブルドンともなれば、かなりの盛り上がりを見せ、テニスラケットも持ったことのない者でも夢中になる。この大会で1人の日本人プレーヤーが圧倒的な強さを見せ、勝ち進んでいた。強いだけではない人を引き付けるプレー、何よりプレーヤー本人に目を奪われる。

「僕もこんな人になる!」

目を輝かせ決心した。不二周助、10歳だった。






3年後

中学2年となった不二は日本に戻って来ていた。
あの大会を見てから、テニススクールへ通いあの選手を目標に頑張って来た。日本でも名門の青学に入学し、今は全国大会目指し日々練習を重ねていた。

「ねえ不二、聞いた?」

チームメイトで一番仲の良い菊丸が、そっと耳打ちをした。

「新しいコーチが来るんだって。」

「コーチ?」

「そう。本格的に全国大会目指すらしいよ。」

「ふーん。」

ちょっと楽しみだね等と言って、菊丸に笑って見せた。
 
(どんな人だろう)

もちろん強くなりたい。しかし、初めて出会う人に不安は広がる。

「みんな、集合してくれ。」

顧問が声をかける。

「みんな毎日頑張ってるな。頑張ってるからには全国大会行きたいよな。そこで、今日から専属コーチが付くことになった。主にレギュラーを見てもらうことになる。しっかり頼むぞ。では、コーチ簡単な自己紹介をお願いします。」

紹介された人物は長身で無駄もない体躯。端正な顔立ちに知性を感じさせる眼鏡。しかし、それはまた冷たい感じも与えていた。

「手塚だ。必ず全国へ行くぞ。しっかり俺について来い。以上だ。」

部員の間にざわめきが広がる。

「嫌ならば構わん。ついて来れる奴だけついて来い。」

今迄のざわめきが消え、静まり返る。

(何か、怖そう…)

頂点を目指すとなれば生易しいものではない。それくらい分かっているが、

「みんな萎縮しちゃってるよ…」

これからの部活動が少し憂鬱になった不二だった。
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