STORY(パラレル)
□ふじ頭巾ちゃん
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「こんにちはお爺さん。」
「やあ、ふじ頭巾。よく来たっすね。こっちきなよ。」
お爺さんはベッドで横になっていました。
「お爺さん何だかいつもと雰囲気が違うみたい。」
「気の所為じゃない。」
「そうかな。はい、パンと葡萄酒だよ。あとラケットとボール、何に使うのかな?」
「別にいいんじゃない。」
「ふーん。ねえ、お爺さん。お爺さんの目いつもより大きいみたい。」
「あんたをしっかり見るためだよ。」
「お爺さんの髪、いつもよりさらさらみたい。」
「あんたと一緒だよ。」
「お爺さんの体、いつもより小さいみたい。」
「大きくなるためにあんたを食べさせて!」
お爺さんはガバッと布団を跳ねのけふじ頭巾ちゃんに襲いかかりました。そこに居たのはお爺さんではなく狼小僧でした。危ない!
…が、
「お爺さん口が小さいみたいだね。」
ふじ頭巾ちゃんに襲いかかったまではよかったのですが、狼小僧はまだ小さく、カプッとふじ頭巾ちゃんの頬に齧りついただけでした。
「まだまだだね。」
その声の主は、調合士のイヌイでした。
「どうだい、大きくなるドリンクを調合してみたんだが、試してみるかい。」
差し出したコップには真っ赤な泡を湛えた黒い液体。見るからに怪しそうです。
「俺は、いいっすよ。」
「でも、大きくならないとふじ頭巾ちゃんを食べられないよ。」
「もう、いいっすよ。」
「いいから飲んでごらん。」
「しつこいっす。」
狼小僧は、ふじ頭巾ちゃんの持ってきたラケットでイヌイに向かってボールをぶつけます。
「ツイストサーブ!」
「あと1cm右だ。」
「ドライブB!」
「回転が足りないな。」
そんな2人を見て、ふじ頭巾ちゃんは納得しました。
「このためにラケットとボールが必要だったんだね。」
「ニャン。」
「何?キクマル。あっそうか。お爺さんだね何処だろう。」
耳を澄ますとクローゼットの中から、ドンドンと音がします。
開けてみると、手足を縛られたお爺さんでした。
「お爺さん、大丈夫?」
「ああ、狼小僧だと思って油断した。」
「油断はいけないよな。」
「ああ、油断せず行こう。」
この後、ふじ頭巾ちゃんとお爺さんと狼小僧とイヌイは仲良くテニスをしました。
完
何のこっちゃのはなしになってしましました。すみません。