STORY(パラレル)

□夢を追い続けて
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後数日で新年度が始まろうという春休み。部活動終了後、手塚と大石は顧問の竜崎に呼び出されていた。
学校は休みとはいえ、新学期の準備に職員室は慌ただしい様子だった。
手塚達の姿を見つけた竜崎は隣の生徒指導室へと2人を招いた。

「疲れているところすまないね。」

「いいえ大丈夫です。それで話というのは何でしょうか。」

「私の孫なんじゃがね…」

「お孫さん?」

「ああ、娘の子なんだが新学期から3年に編入してくる事になっていてな…」

竜崎にしてはどうも歯切れが悪い。

「先生、どうぞはっきり言って下さい。」

大石が竜崎を促す。

「そうじゃな。その孫、周助というんだがテニスをやりたいと言ってな…だが…」

「3年で新入部員ということが気になるんですか?」

「いや、そんなことは気にしとらんよ。あの子は…テニスはというか運動はむりなんじゃ。」

「…どういうことですか?」

「生まれつき心臓に障害を持っていてな、運動はむりなんじゃ。そのせいかスポーツ観戦は好きで、昨年のお前さんたちの新人戦を見に来ていてな、一生懸命にボールを追う同じ年のお前さんたちの姿に感動してな自分もやりたいと言い出した訳だ。もちろん無理だということは承知している。」

「それで自分達に何を頼みたいのですか。」

「呼びだした理由はわかったみたいじゃのう。頼みたいのは…」

竜崎は少し考えるように腕を組み目を瞑った。

手塚と大石は竜崎の次の言葉を待った。

「頼みというのは…周助をテニス部のマネージャーにしてくれんかのう。あんなに好きなのにプレーは出来ん、せめてボール拾いでもさせてやりたくてな…」

「それは構いませんが、本人には了解済みなのですか。」

涙ぐみそうな竜崎の話を手塚は冷静な言葉で遮った。口は悪いがいつも暖かく大きな心で部員達を包んでくれる顧問の涙を見たくなかったのだ。

「本人にはまだ何も言っとらん…あの子は後数年生きられれば…だから、出来るのもはさせてやりたい。青学に来たのもかかりつけの病院が青学大付属病院でここからもすぐじゃ。それに何かあった時は此処にわしも居るし、テニス部にはお前さんたちが居る。だから青学の編入を勧めたんじゃ。」

「コネ入学ですか…あっ!す、すみません…」

「いいよ大石。でもコネでも何でもなく実力で入ったんじゃよ。あの子は運動出来ない分勉強しておったし頭の回転の早い子じゃ、うかうかしていると学年1位の座を奪われるぞ大石。でも、編入生の受け入れに関しては少々学校長と理事にお願いをしたかのう。ハハハハ!」

少々?
お願い?

迫力満点で脅したの間違いじゃないかと2人は思ったが、決して口にはしなかった。2年間も付き合っていれば顧問の性格など理解出来るものだ。
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