STORY

□勘違いラプソディ
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(何であいつらは何時も一緒にいるんだ…というより不二に近づきすぎるぞ、佐伯!)

昼食後、佐伯に案内され近くのコートへやって来た。そこには六角中のレギュラーも揃っていた。新人戦の時にも顔を合わせていたので、お互い軽く挨拶を交わし入り混じっての練習を開始した…ところまではよかったのだが、不二の傍に必ず佐伯がいた。柔軟体操の時も組んでいたし、ウォーミングアップも打合っていた。そんな二人を見て手塚の心中は穏やかな筈がなかった。つい二人の姿を目で追ってしまう。

そんな手塚の視線を僕は気がついていたが、理由は分からなかった。そんな僕に六角の黒羽春風が囁いたんだ。

「おまえんとこの部長、サエばかり見つめてるな。確かにサエは綺麗でかっこいいけどな。六角のアイドルだからやれないぞ。」

「?!(手塚はこうちゃんを見てたの)」

僕は混乱した。

(僕達、お互いの気持ちを確認し合ったばかりじゃないっけ…確かにそれだけだったけど…一緒に出かける暇も無くて、だから手も繋いだこともなくて、勿論それ以上も…それって、忙しかったからじゃなくて、手塚にその気が無かったて事?!)

僕は佐伯の顔を見つめる。何?と笑い返す佐伯。

(確かに綺麗でかっこよくて凛々しくって爽やかで、いいとこばかりじゃないか。手塚が惹かれてもしょうがないよね。)

「何見詰め合ってるんだあいつらは!」

不二の事情も知らない手塚には、不二が佐伯を見つめているようにしか見えなかった。

そんな手塚を見ていた僕。頭の中は手塚→佐伯でいっぱいだった。注意力散漫になった僕は飛んでくるボールに気づかなかった。

グゥワン!!

急に頭に衝撃が走った。一瞬目の前が暗くなり平衡感覚を失った僕はその場に蹲った。

「大丈夫か、不二。」

「タカ…さん…」

なに…どうしたの…ダメ立っていられない…

「軽い脳震盪を起こしているかもしれないな。救護室に連れて行ってくるよ。」

タカさんはそう言うと、僕を抱き上げた。恥ずかしいのと悪いなと思う気持ちはあるけど、僕は一人で立ってられなかった。そっとタカさんの首に腕を回し目を閉じ、おとなしく連れて行ってもらうことにした。

「ごめんね…タカさん…」


「なあに、軽いものさ。それより不二もう少し体重増やさなきゃ、スタミナ不足になるぞ。」

そんな僕達とすれ違った人がいた。六角のダビデこと天根ヒカルだ。体格もよくタフな男だ。だから、男が男を抱きかかえていくなんて思いもよらない。

(えっ!何だあの二人…あの二人は抱き合うほど仲がいいのか。でも仲が良くても抱き合ったりしない…
抱き合うのは愛し合うもの同士…
青学のあの二人はできているのか!さすが東京、恋愛も進んでいるんだな。そうだバネさんに教えてあげよう)
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