STORY(赤也不二)
□だいすき
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夏休みも終わろうとしていた暑い日だった。
残り少ない休みを謳歌しようというのか、平日というのに街は若者で溢れていた。
「おや、珍しい人がいるね。」
「あれは、誰かを待っている確率98%だな。」
「こんな所まで来るということは、待ち合わせの相手は…」
「赤也の確率100%だな。」
「何!赤也はまた遅刻ということか!」
後輩の非礼を怒る真田を置いて、幸村と柳は面白い玩具でも見つけたかのように、その人物に近寄って行った。
「やあ、不二。こんな所で珍しいね。」
急に声をかけられ一瞬驚いたようだったが、相手を確認するとすぐにいつもの笑顔を作った。
「やあ、幸村に柳、あっ真田もいるんだね。3人揃って屋内テニスでも行くのかい?」
「いや、自由研究をしていたらどんどん嵌って行ってね、もっと調べたくなって図書館に行くところだよ。」
「真田がいるってことは、戦国時代かなにかかな。」
「そんなとこかな。不二は待ち合わせ?」
「そうなんだ。君のところの切原くんに誘われてね。映画でも観ないかって。」
「赤也とか…だから東京じゃなくて横浜なんだ。」
「横浜でって、言ってきたのは切原くんだけど、僕も横浜好きだし、家からもそんなに遠くはないしね。」
「それで、赤也はまだなのか!全くたるんどる!」
「真田、違うんだ。まだ、待ち合わせの時間じゃないんだ。先にチケット購入しておこうと思って早めに来たんだ。」
「しかし、こんな所に立っていたら熱射病になってしまう確率52%だな。」
「よかったら、そこのスタバでお茶しながら赤也を待っていよう。」
「あっ、でも君達は図書館に行くんじゃない。」
「急ぐ用でもないからね。」
「移動しちゃうと切原くんが来ても分からなくなっちゃうし…」
「大丈夫。赤也には分かるから。」
幸村はニコニコしながら不二を促しコーヒースタンドに入って行った。
(面白い物が見られるかもしれないぞ)