STORY(未来編)

□君との距離
1ページ/12ページ

中学で全国制覇した後、青学レギュラー陣は揃って高等部へ進学した。家業を継ぐため高校ではテニスをしないと言っていたが、全国大会での息子の死闘に感激した父親が

「何、俺はまだまだ現役でいける。3年ばかり修行の始まりが遅れたってなんてこたあねえ。お前はテニスを続けろ。また、全国優勝して見せろ。」

と言ってくれたので、高等部でもテニスを続けることにした河村と、プロへ進むだろうと専らの評判だったが、高等部でも全国制覇だと決心した手塚も加わり、テニス部でもまたみんな顔を揃えた。1年では、すでにレギュラー入りを果していた幸村・真田・柳のいる立海大に関東大会で破れ涙を飲んだ。しかし2・3年と見事2連覇を成し遂げ、日本テニス会に青学ありと深く刻みつけ、それぞれの道を歩み始めた。

手塚はプロへと。河村は家業の修行へと。後の4人は大学へと進学した。大石は医者になるべく国立の医大へ。乾はスポーツ栄養学を学ぶため体育大へ。菊丸と不二は青学大学の教育学部と法学部へとそれぞれ進学した。
あれほどうち込んだテニスではあったが、卒業後も続けたのは手塚だけだった。しかし、1名を除いては趣味として週に1度集まりテニスを続けていた。

「やっぱ、ラケット握らないと調子がでないにゃ。」

「でも、身体がなまってるな。」

「ああ、仕方ないだろう。あれほど毎日やっていたのに、今は良くて週に1度だ。ろくに運動してないしな。ほら、疲労回復にどうだ。」

「乾、まだ変な汁作っているのか…」

「失礼な。これは、ちゃんと教授と研究した滋養強壮に効果がある飲み物だ。」

「…」

「これの試飲で、ウサギが元気になって、構内を駆け巡ったあげく力つきたがな。」

「俺…まだまだ元気だから、いいやぁ。」

「俺も遠慮するよ。」

「そうか、いいデータが取れると思ったんだがな。」

「人を実験台にするな!」

「ああ、3人って淋しいな…。何で不二テニスをやらないんだろう…」

「英二は同じ大学だよな。不二と会うのか?」

「うん、時々見掛ける。でも、不二は何とかって先生の研究室で手伝いしてて、忙しそうなんだにゃ。」

そう、手塚とならんで、高校卒業後プロテニスプレーヤーになるだろうと言われていた不二だが、きっぱりとテニスをやめ、ラケットさえ持とうとせず、乾・大石・菊丸が楽しんでいる時にさえ参加しなかった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ