STORY

□君と一緒に
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全国制覇を成し遂げてから3日経った。
優勝決定の瞬間はただ興奮していただけだったが、時間が経ち落ち着いてくるとじわじわと嬉しさが込み上げてくる。今、両掌に乗せたメダルを見ながらしみじみ思う。
君があんなに拘っていたチームでの全国制覇。
今なら分かるよ。
君なら個人優勝も夢ではなかっただろうけど、あの仲間であのチームみんなで喜びを分かち合いたかったんだよね。
苦しい時、手を差しのべてくれる。
立ち止まった時、背中をそっと押してくれる。
一緒に悩んだり喜んだりしてくれる。
本当に素晴らしい仲間に巡り合えた。

「あっ、いけない遅れるとこだった。」

今日はタカさんの家で祝勝会だ。
当日は大興奮で、祝勝会なんて考えている余裕などなかったので、少し落ち着いた頃にレギュラーだけだけど、祝勝会と3年追い出し会とを兼ねてすることになった。『開店までは貸し切りだよ』といつものようにタカさんのお父さんが場所を提供してくれた。
集合時間は1時。
時計は12時少し過ぎを指している。
僕は慌てて着替えと髪を整え家を出た。

「不二、やっと来たぁ。」

「ごめん。遅刻しちゃった?」

「まだ大丈夫だよん。」

タカさん家の最寄り駅で英二と待ち合わせをしていた。

「俺さ、なんか嬉しくてウキウキしちゃってみんなに会いたくてさ、早めに家出ちゃった。」

「うん。僕もみんなと早く会いたいよ。」

「でもさ、全国一なんて実感が湧かないんだよね。ただ、みんなと楽しくテニスしてただけって感じ。」

「そうだね。でも楽しく出来たからこそ実力を発揮できたんじゃない。僕たちの練習は半端じゃ無いと思うよ。その練習を積んできたんだ、きちんと力はついていたんだよ。」

「さすが不二いいこというにゃ!」

などと、英二と話をしているうちにタカさんの家に着いた。

「こんにちは。今日はお世話になります。」

不二おっさんくさいと英二に言われながら暖簾をくぐった。
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