STORY
□ダブルスをくみたい
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今日は青学3年生6人揃って、市営のテニスコートに遊びにやってきた。
全員エスカレーターで高等部に進学するため、受験勉強も必要ないし(菊丸は進学規定ギリギリのため大石が勉強を教えているが)今迄あれ程テニス漬けだったのだ、引退したからといっても体がウズウズしてくる。
かと言ってあまり部活に顔を出しても、海堂・桃城達2年が中心となり新たな体制で始動している部活の邪魔になってしまう。
それでこうして市営のテニスコートを借りて楽しんでいるのだ。
「ねえ、ダブルスやんない?」
「そうだな、シングルスだと待ち時間も長くなるしな。」
菊丸の提案でダブルスによる試合をすることになった。
「組み合わせはどうしようかぁ。」
「公平にグーチョキパーでいいんじゃないか。」
「そうだね。そうしよう。」
組み合わせはあっさり決まった。
手塚・菊丸ペア
不二・乾ペア
大石・河村ペア
最初の試合は手塚・菊丸ペアと大石・河村ペアだ。
「大石とダブルスで対戦できるなんて、なんか新鮮だにゃ。」
「英二の癖は分かってるからな、楽勝だな。」
「手塚と試合できるなんて、なんか緊張してくるな。」
「油断せずにいくぞ。」
そう、手塚には密かな望みがあった。
(不二とダブルスを組みたい!)
かと言って自分から言い出せない手塚は淡い期待を抱いていたのだが、残念な結果となった。
「手塚!大石のムーンボレーだよ!」
慌てて下がり難なく返す。
(まだ、俺の方が上手だな。どうだ不二見ていたか?…乾のデータノートなんか覗いているんじゃない!試合を見ていろ!)
「ホイホイっと。」
「菊丸ビーム!」
菊丸がアクロバティクプレーを連発する。
(こいつはチョコチョコと邪魔だな。大石はよくこいつとダブルスを組んでいられたな…。忍耐強くなるわけだ。)
変なことに感心してしまう手塚だった。
「手塚!タカさんの波動球来るよぉ!」
(俺だって、不動峰戦での石田の波動球から不二を守ってやりたかった…腕の心配してもらって、みんながいるから大丈夫って笑いかけて欲しかった…おまえはずるいぞ!俺の方が頼りになるって不二に教えてやるぞ!)
「フン!」
両手を使い、何とか河村の球を返す。
「やっぱ、返されちゃったか…。さすが手塚だな。」
素直な河村は、手塚の思惑など気付かず感心している。
(そうだ、こいつは山吹でも不二と組んだんだ。
おまけに全国でも…不二にタカさん最後まで粘ろうなどと励まされていたっけな。不二は比嘉に馬鹿にされた河村の良い面を…パワーをあいつらに見せつけてやりたくて蜉蝣包などというとんでもない技を編み出したんだろう…ずるい!ズル過ぎるぞ河村!)
「零式ドロップ!こんなのとれないよ手塚。」
(ほら見ろ、格の違いを思い知ったか不二。)
「タカさん、ナイスファイト!よくそこまで追いついたね。」
(違うだろう、不二!そこはナイスプレー手塚ではないのか!)
「もう、手塚そんなのダメだよぉ!俺がアクロバティクで決めるんだからぁ、とれないような球打たないでよぉ!」
(何だと、試合に勝つためには当たり前だろうが!…そういえばこいつも六角戦で不二と組んだんだっけな…クソッ、俺は見れなかったがどうせ不二のおかげで勝てたんだろう!)
「英二!菊丸印のステップみせて。」
「オウ!任せて!不二見ててね。」
(なんで、不二は他の奴ばかり応援するんだ!)
集中できないうえ前衛でちょこまかするので、手塚は幾度となく菊丸に球をぶつけてしまった。
「どうしたの手塚?もう鈍っちゃたの!?」
(どうして不二はこんなのばかり見ているんだ…!)