STORY

□やっと気づいた…
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手塚はうんざりしていた。卒業までに手塚と恋人同士になりたいという告白が多いのだ。

今までも告白してくる者はいたが、部活や生徒会で忙しいことを理由に断ってこれた。しかし、どちらも引退している現在ではこれらの理由では納得してもらえない。男女交際に興味が無いと言えば、興味を持つために付き合えばいいとか、君に何の感情も持っていないと言えば、付き合って分かって欲しいとかあれこれ理屈を捏ねてくるのだ。

「いっそのこと彼女作ってしまえばいい。」

普段の仏頂面に加え不機嫌丸出しの手塚を見かねて(半分は面白がっているのだろうが)乾が声をかけてきた。

「彼女…?」

「ああ、特定の彼女を作れば他からは声をかけてこなくなるだろう。」

「そんなもんか…?」

「そんなもんだ。」

「んん…いい案かもしれないな。」

「だろう。」




手塚は乾の言葉を実行に移した。

その日の放課後、一人の女の子が手塚に告白してきた。
書記として一緒に生徒会活動をしてきた子ということもあり手塚はお付き合いを承諾した。

「あの…手塚くんが女の子に興味無いって分かっているんだけど…ずっと好きだったの。忙しいあなたの邪魔になりたくないって思って、今まで言えなかったんだけど…私、外部受験するの、だからあと半年の中学校生活をあなたと思い出を作りたい…できれば卒業してからも…お願いします、私と付き合って下さい。」

「いいぞ。」

「…ええっ!」

「いいと言ったんだ。」

「ずっと断ってきたのに…!?」

「気持ちは変わるものだ。」

「あ…ありがとう。嬉しい…あの今日…一緒に帰ってもいい…?」

「ああ。」

「じゃあ、昇降口で待ち合わせねっ。」

潤んだ瞳と満面の笑みを浮かべ、身体全体で幸せを表している彼女となった子の後ろ姿を見つめ

「一緒に帰るくらい仕方がないのか…」

と手塚はため息をついた。

瞬く間に手塚に彼女が出来たことは広がった。振られた子の中には彼女の悪口をいう者もいたが、一緒に生徒会活動をしていたということもあり、大半は仕方がないと諦めてくれたようだった。
乾の読み通り告白攻めからは解放されたが、2周間も経つと新たな苦悩が始まった。
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