STORY
□ガンバレ!音楽祭
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最近、手塚は気になっていることがあった。聞くとはなしに、耳に入ってくる同じ人の名前。
「…不二くんと菊丸くん…」
「不二くん…二人で…」
「ミニスカートで…」
聞きたい。何の話か最後まで聞きたい。出来ることなら、話をしている生徒を捕まえ何の話か聞きだしたい。しかし、それが出来ないのが手塚だ。イライラが限界を迎えそうになったその時、タイミングよく(いや、故意であろう)乾が通りかかった。この男なら、手塚も気軽に聞くことが出来る。
(もっと早く気づけと思うが…)
「乾、聞きたいことがある。」
「不二と菊丸のことか?」
「ああ。」
「何を聞きたい。」
「全てだ。」
部長としても生徒会長としても、一般生徒としても完璧に見えるこの男、恋人としては鈍くさいと、乾はデーターに追加した。
「不二達の3-6の文化祭の出し物が注目されているんだ。懐かしのアイドルと銘打って先生方にアンケートをとり、音楽祭の形で歌うんだがな、そこで不二と菊丸が、デュエットするんだ。」
「歌が珍しいか?不二はともかく菊丸はよく歌っているぞ。」
「二人は、ミニスカートを穿くんだ。」
「!!」
「双子のリリーズを知っているか?その双子の歌を歌うらしいぞ。テニス部のキャプテンに片思いって歌らしく、ちょうどテニス部だということで、二人に決まったらしい。」
「なぜ、ミニスカートなんだ。」
「当時の衣装だからさ。」
「風紀としてよくはないんじゃないか…。」
「女の子じゃないし、構わないんじゃないか。まっ、中には二人の姿を楽しみにしている奴らもいるがな。」
「奴らだと…!そんなの許さん。」
「実行委員からは許可が出ているぞ。」
「不二に注目が集まるじゃないか。」
「学校行事でみんなが楽しみにしているんだ。まさか、会長が私情を挟み水を注すなんて事はしないよな。」
「うっ!」
「まあ、楽しみにしておけ。」
はははと笑い声を残し、乾は去っていった。