STORY

□身代わり
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試合の後、手塚は僕を抱く。抱いている最中、対戦相手の名前を口にする。試合中心の奥底は高揚感でいっぱいなんだ。ただ、人前でそれを感じさせない…表に出さない、あくまでも冷静な部長を演じる。その高揚感は性への興奮となる…その捌け口が僕…。好きだから抱いているんだと思いたい。僕は、君だから身も心も許しているんだよ。だから、他の人の名前を呼ばないで、手塚…。

「不二、明日うちに泊まりに来ないか?」

明日は、試合はなかったはずだけど…。
もしかして、これは僕の錯覚?それとも純粋に僕が欲しいから声をかけてくれたのかな…。期待してもいい?僕は嬉しくて、そして寝たら夢になりそうでなかなか寝付けなかった。

翌日部活後、手塚は僕の耳元で囁いた。

「少し、部室で待ってってくれないか。」

「分かった。」


夢ではなかったんだね。僕は浮かれ気分で部室で待つことにした。いつもより、夕日が眩しく見えるのは気のせいかな。緑も輝いて見える。恋する気持ちをあらためて、思い出したよう。

「恋する女の子みたい…クスッ。」

その時、ラケットを持った3人の姿が、窓の外に見えた。手塚と大石と…越前…
何処へ行くんだろう?僕との約束忘れたわけじゃないよね。僕は、後をつけてみることにした。
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