STORY

□言えない言葉
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「別れよう。」

「…どうして…」

「すまない。俺の勝手な事情だ…」

「話してくれないの…僕、納得できないよ…このままじゃお別れなんて出来ないよ…」

「すまない…」

俺は潤む目の不二から目をそらし、そして背を向けた。そしてその背に不二の声にならない声が伝わってくる。

(これが一番いいんだ…)

俺は自分に言い聞かせた。これでいいんだ…

付き合いだして間もない頃、話をしたわけではないが、
「不二は男女問わずもてるぞ。」
と、乾が声をかけてきた。俺は関係ない振りをし無視を決め込んだ。
「まあいいだろう、手塚がみんなに知られたくない気持ちもわかるからな。ただ、不二はどうかだな。あいつは手塚大好きオーラが出るぞ。今は一生懸命なんでもない振りをしているから気がついている者は少ないがな。手塚を見る目は恋するそれだぞ。」
俺はこの時、乾の言いたかった事が分からなかった。不二との関係は今のままで言いと思い込んでいた。
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