STORY

□勘違いラプソディ
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春休み、僕達青学テニス部のレギュラー8人は練習試合を兼ね六角中と合同練習を行う為に、千葉に3泊4日で合宿に来ていた。この町はテニスが盛んでコートも沢山あり、施設も充実していた。また海沿いでもあり眼前に大海原が広がっていた。海水浴で賑わうにはまだ早い海は、落着いた佇まいでキラキラと輝いていた。空は何処までも青く、菜の花の黄色い絨毯が何処までも続いていた。

「青学の皆さんようこそ、六角中へいらっしゃいました。」

爽やかに明るく挨拶してきたのは、六角中の佐伯虎次郎だった。

「こうちゃん!」

「周ちゃん!相変わらず綺麗だね。」

僕達は幼馴染みで仲も良かった。会えて本当に嬉しい。ますますかっこよくなったみたいだ。僕に気がついたこうちゃんー佐伯が僕に抱きついてくる。

「先ず、宿に案内します。練習は午後からでいいですか?ではお昼が終わった頃六角中へ案内します。」

僕と佐伯は宿に着くまで昔話で盛り上がった。

「周ちゃんとさあさり取り競争したときさ、前も見ないで進むもんだからいつの間にか深くなっていて溺れたんだよね。あの時は本当びっくりしたよ。」

「こうちゃんだってさ、お父さんに助けてもらったっていうのに、寝るまで泣いてて次の日目が開かなかったんだよね。あの時の顔ったらさ、男前が台無しだったよね」

「そうそう、俺ん家の隣のよく遊んでくれたお姉さんいたじゃん、赤ちゃん生まれたんだぜ。」

「よく買いにいった駄菓子やもとうとうコンビニになちゃったよ。」


佐伯はいろいろな事を話してくれて、幼い子どもに返ったようだ。

「此処です。おじさん着いたよ。」

佐伯が奥へと声をかける。連れて行ってもらったのは、太平洋が見渡せるこじんまりとした民宿。決して新しい建物ではなかったけど、庭も宿も手入れが行き届いていて感じが良かった。

「いやあ、遠いところご苦労さんでしたな。さあ、どうぞ上がってください。」

みんなで挨拶をした後小さなロビーに集まり部屋割りとスケジュールが手塚から発表された。

「1階1号部屋、此処は竜崎先生の部屋だ。2階11号室は俺と乾 12号
室は大石と海堂 13号室は不二と河村 15号室は菊丸と桃城。
朝食は7時に食堂、昼食は宿の方が弁当を作ってくれる。夕食は6時から食堂だ。練習は9時から5時、風呂は10時までに入れ。練習場は此処から歩いて5分程だ。集合は各自に任せるが、遅刻は厳禁だ。もし遅刻があれば連帯責任として同室者も早朝館内掃除だ。今日の午後と明日は練習、明後日は六角と練習試合だ。最終日は午前練習で昼食後出発する。以上だ。」 

合宿がとうとう始まったね。楽しみだ。
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