STORY

□ずっと一緒に
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つい口が滑ってしまった大石の気まずそうな顔を見ながら、不二は今聞いた言葉に呆然としてしまった。
不二が聞きたいであろう事を、まるで代弁するかのように菊丸が騒ぎ立てる。

「えつ!何何!どういうこと大石!」

関東大会で優勝を飾りさあ全国へ挑むぞと気合の入った練習の後、気の置けない3年生同士、不二は大石と菊丸と雑談をしていたのだった。話も弾みついつい気を許してしまったのだろう大石は口にした事柄について青くなっている。

「それは…」

「本当に、手塚留学するの?!」

「う、うん…」

「いつから大石知ってたんだよぉ!」

腹を括ったのか、相手が信用できる仲間だからなのか、大石は少しずつ離し出した。

「俺も聞いたのは氷帝戦の前なんだ。竜崎先生に呼ばれて行ったら手塚も居てさ、いつもと雰囲気は違うなって思っていたところに留学するって聞かされて、本当に驚いたよ。」

「急に決まったのかな?」

「前から相談はしていたらしいよ。手塚は少しでも早く行きたかったらしいけど、腕の怪我もあったし部も放って行けなかったらしい。」

「全国はどうするにゃ?」

「うん。肩のリハビリもあるし、直ぐに行くわけではないからね。全国は一緒に行かれると思うよ。」

「…それって、手塚から聞いたの?」

今まで黙って聞いていた不二が口を開いた。

「そうだよ。黙っていて悪かったって。」

「そう…」

それだけ聞くと、不二はまた口を噤んだ。

手塚がいつか世界へと飛び立っていくだろう事は、不二は分かっていた。それが思っていたよりも早かっただけのこと。
それよりもショックだったのは、自分には何も言ってくれなかったこと、自分よりも大石に先に告げたことだった。

「もしかしたら、僕のことなんてそんなに大したことじゃなかったのかな…」

色々な思いが胸を駆け巡り不二は一睡もできなかった。

恋人だと思っていたのは自分だけ…
好きなのは自分だけ…
ずっと一緒だと思っていたのは自分だけ…
独りよがりだった僕…
バカな僕…
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