その他夢

□片想いとは
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「えええええ!?
 ね、姉様結婚するの!?」




驚きに満ちた秀麗に私は苦笑した。





心の奥で醜い自分が(あなたのせいだ)と囁くのを押しとどめて、小首を傾げる。








「そう。たまたま、見初めていただいて…急なんだけれど」




明後日には向こうの家に行かなければならないの。



婚儀はまだなんだけれど。





その私の言葉に秀麗はおろか後ろで控えていた静蘭も素直に驚きを表していた。







「そそそそそそれでお相手はどこのどなたなの!?」




動転している秀麗とその後ろから同様に説明を求める静蘭に私は困りつつ口を開いた。


















「寂しく、なりますね」



本当に寂しそうに言われて胸がどきりと鳴った。



そんな風に期待させないでほしい。






同じ姉妹でありながら秀麗と私は扱いが全く違った。


表向き、紅家直系の長姫は私だ。だが私は潔ツの実の娘ではない。



いつか来るだろう秀麗の危機を回避するために育てられた、いわば身代わり。


だからどんな命を受けようとも私には断る術はなかった。







「……大丈夫よ。静蘭は、少しずつ大切なものを増やしているでしょう?」




私の言葉に静蘭が瞳を揺らした。



知っている。




彼が大切なものを増やすことを怖がっていることは。





「…変化はとてもゆるやかで、とても心地いいものよ」





「名無しさんお嬢様…」




私はにこりと笑った。




「私がいなくなっても、寂しくなんてないわ」















寂しいと思ってほしい。

引き留めてほしい。

行くなと言って、好きだと言って、結婚しようと言って。















でもそれは叶うはずのない願い。



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