その他夢

□心配
2ページ/2ページ













「……っく」

 肩が震える。のども震えて、名無しさんはどうしていいのかわからずただしゃくりあげていた。










「……すまなかった」



「な、る……」



 謝るなんて、と思いながら彼を見るとすっと胸元に抱き寄せられた。




「調査がうまくすすまなくて名無しさんに当たるなんてどうかしてた」



「……寝て、くれる?」



「ああ」



「ご飯もちゃんと食べてくれる?」



「ああ」



「……ありがと」



「……どうして名無しさんがお礼を言うんだ?」



「だって……心配なんて私が勝手にしてるだけだし。ナルは本当に大丈夫かもしれないけど、でも……」





「……僕はもしかすると、名無しさんに心配してほしくてこんな生活をしているのかもしれないな」




「え!?」



「名無しさんに心配されるのはうれしい」




 普段は見せない笑顔。


 それをたたえたナルに名無しさんの顔は一気に赤く染まった。





「さて。じゃあ寝るかな」



「え……あの、ナル? どうして私の手を引っ張るの? わ……っ」




「言ったろう? 僕は名無しさんがいないと眠れない」






 さっきまでとは違う、意地の悪い瞳にさっと名無しさんは青ざめた。






「ちょ……っ? んん!」




「僕のことが心配なんだろう?」




「心配、だけど……」





それとこれとは少し違う。




そう抗議の声を上げようとした私の唇をふたたびナルが塞いだ。










「僕が疲れて眠れるようにすればいい」




艶を含んでささやかれた言葉にくらりとした。



2011/9/20
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ