遙か夢弐

□金も食わぬ
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「お兄様、泰衡様は私よりも金が好きなのです」



「九郎、お前の妹は私よりも息子が好きらしい」



「・・・・・・名無しさん、泰衡殿も・・・・・・何を言ってるんだ」




呆れた顔をされて、私はぱしりと扇で床を叩いた。


「呆れてる場合じゃないわ、お兄様! だって私と会うよりも金の散歩を優先するのよ!?」



「お前だって私と寝るより息子と寝る。それとどう違う?」



「はぁ!? ちょっと誤解を招く言い方やめてもらえます!?」



「何が誤解だ、事実だろう」



「お乳をあげるのに一緒に寝ないでどうするんですか! 泰衡さんにお乳あげろとでも!?」


「それもやぶさかではない」



「な……っ!」



かぁっと顔が紅潮したまま叫ぼうとして、九郎お兄様が私の口を塞いだ。



「やめろ、こいつが起きる」


そう言って示したのは名無しさんと泰衡の愛の結晶だった。

齢一か月。




「うー……っ!」


悔しくてじだんだする私に九郎お兄様が大きなため息をついた。



「頼むから、ケンカをするたびに俺を巻き込むのはやめてくれ」



2012/8/30

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