遙か夢弐

□してやったりと
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朝の日の光にきらきらする髪を見て、私はそっと手を伸ばした。




「―――! ……どうしたんです?」


「ん? アーネストの髪、キレイだなぁって思って」



「ああ……あなた方とは違う色ですものね」



「うん。それに柔らかい」



指に絡まる金糸の髪はするりと手のひらをすり抜けた。

その髪の感触が気持ちよくてなんだか愛しくて、さらさら髪を触りながらにこーっと笑った。



「アーネストの髪、好き」



「・・・・・・」



「? アーネスト?」


ことりと首を傾げると、アーネストは自分の口元を手で覆った。



「・・・・・・」


「アーネスト?」



「あなたのその素直な破壊力は尊敬に値しますよ」


「む、嫌味!」


「嫌味でけっこうです」



「? ……もしかして、照れた?」


「……っ!」
















―――――

「(好きなんて臆面もなく言うから)」


「アーネスト、照れたの?」


ぱっと笑みを浮かべる彼女の髪を耳にかけ、その耳元に囁きかける。



「お戯れはほどほどに、マイプリンセス。狼に襲われても知りませんよ?」



「……っ、もう無理……っ!」



ちゅ、とリップ音を立てて離れると、真っ赤な顔をした彼女が頬をおさえて飛びのいた。



(してやったり、と)

2012/8/30
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