遙か夢弐
□相慕い、相憂う
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「・・・・・・名無しさん」
「あ、知盛さん! お帰りなさい!」
名前を呼ばれたのが嬉しくて。
私はぱっと立ち上がると知盛さんの近くに駆け寄った。
「お怪我は?」
「く・・・っ、あると、思うか……?」
「いいえ! ないと思いますけど無事かどうか確認はしなくちゃ」
胸を張ってそう言うと、知盛さんは私の頬をさすさすと撫でて満足げに笑った。
「お前も、息災そうだ・・・・・・」
「っ! も、もちろんですよ!」
「そうか……」
突然触れられて反射的に熱くなった頬を持て余しながら私はきゅんと高鳴った胸を抑えた。
去って行くその広くてしなやかな筋肉のついた背中にドキドキする。
久し振りに顔を見れて、すごく嬉しい。
そんな風に思っていたらがしりと頭を掴まれた。
「よーぅ、久しぶりに会う幼馴染には目もくれずに知盛一直線ってか?」
「いいいいいいたいぃ……っ!」
「っと、名無しさん、朗報だ」
「え?」
「望美と会えるかもしれないぞ」
「ほんと!?」
「今度一緒に行こうな」
「うん!」