遙か夢弐
□私の宝物
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「名無しさん、白龍、はちみつプリンだぞー」
「!」
「!」
譲くんの声に私と白龍はぱっと目を合わせた。
「名無しさん、プリン!」
「行こ、白龍!」
きゅ、と手を握ると白龍もきゅっと握り返してくれた。
「うん!」
私は背が小さい。
望美ちゃんはそんなことないのに、なんでなんだろうってずいぶん悩んだけど、でも望美ちゃんが可愛いって言ってくれるからそれでいいのかも、と最近思えるようになってきた。
ちょうど白龍と同じ目線。
望美ちゃんと違って内気で気弱で、何をしてもうまく行かない自分にすごく劣等感があった。
こんな世界に飛ばされて、みんなにすんなり馴染んだ望美ちゃんをすごいなって思ってて。
でも私はみんな大きいし男の人だし、怖くて。
びくびくしてた私の手を握ってくれたのが白龍だった。
『大丈夫だよ』
たった一言だったけど。
その一言で、私はずいぶん救われたんだ。