遙か夢弐
□突然の出会いは永遠に
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「お前は……どうしてこう厄介ごとばかり拾ってくる?」
無表情のまま怒られて私は肩を竦めた。
「えへ」
「笑ってすむ話じゃない。はぁ……俺は明日どうしても外せない用事があって残れないんだが……崇を呼ぶか」
「え!? 大丈夫大丈夫! 崇くんもう寝てるでしょ?」
「・・・・・・ちんぴらとお前を二人だけで残して行けと?」
分かりにくい心配の仕方に私はにこっと笑った。
「大丈夫! それにこの人、ちんぴらみたいなやくざさんじゃないと思うよ。目がね、理性持ってたし」
「・・・・・・はぁ。だからお前は厄介なんだ」
瞬兄の手がすっと伸びてきて私の頭をくしゃくしゃと撫でまわす。
「ありがと、瞬兄。助かっちゃった」
「―――ああ。何かあればまた連絡してくれ。包帯を替えにまた夕方ごろに寄る」
「わかった」
「それと、傷はそんなにひどくないが、出血が多かった。安静にしていろと伝えてくれ」
「りょーかい」
瞬兄を送り出して、私は自分のベッドに横たわる男性を見た。
苦しいのか玉のような汗をかく額を水で濡らしたタオルで拭う。
「・・・・・・綺麗な顔」
男らしい、キレイな顔。
でも目を開くと一気に生命力を持って圧倒する。
しばらく眺めてから、私は自分の用事を済ませるためにその部屋を出た。