遙か夢弐
□依存関係
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「今帰った」
しゅん、と姿を現したリズに私はぱっと笑みを浮かべて駆け寄った。
足下でじゃらりと音がする。
少し重い枷をはめたまま、リズにすり寄ると、そっと抱きしめてくれる。
「おかえりなさい」
「ああ。変わりなかったか?」
「うん」
うなづくとふわりと抱き上げられた。
「明日から私は源氏軍に合流する」
「え」
「お前も連れて行く」
「え、い、嫌」
反射的に首を横に振ると「何故だ?」と聞かれた。
「だって、リズ以外の人と会いたくない!」
必死で叫ぶとリズはふっと笑みを深めた。
「お前は何も聞かなくていい。他の者を見ず、他の者の声を聴かずただ私のためだけにあればいい・・・・・・」
「・・・・・・うん。私はリズのものだから」
「源氏軍に合流しても、私の傍にいなさい。私の声だけを聴いて私だけと話して私だけの気配を感じて私だけを見て、私のためだけにありなさい」
「・・・・・・うん」
いっそ二人だけしか存在しない世界に行けたらいいのに。
そうしたら何の心配もいらないのに。
触れる唇の甘さに酔いしれながら、このまま二人一緒に死んでしまえればいいのに、と思った。
(依存関係)
2012/8/25