遙か夢弐

□かわいい奥方
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隣で起き上がる気配がして私は目を覚ました。


「・・・・・・帯刀さん?」


「ああ、起きたの? まだ寝てていいよ。昨日無理をさせたからね」


さらりとそう言われて、私は顔を赤く染めた。



「そ、そういうこと、さらって言う……っ」


「ダメ? 何、思い出したの?」


意地の悪い笑みを浮かべて帯刀さんは私の頬を撫でた。
その手のひらが徐々に肩に滑り、むきだしの背中を撫でる。



「昨日、どこをどんな風に触られて、どんな声をあげて、どんな風におねだりしたか、思い出した?」



「……っ、い、い、いじわる……っ」


からかって楽しんでるでしょ、と叫ぶと帯刀さんが喉の奥でくっくっと笑った。



「可愛くてほんとに、愛おしいよ」



さらりと髪を一房つまみ、その髪に口づける。


その姿が艶やかで、私は普段では絶対見られない髪を下した帯刀さんの髪に手を伸ばした。



「何?」


「・・・・・・こんな帯刀さん見られるの、私だけだなって」


にこ、と笑うと帯刀さんが片眉をぴくりと跳ねあげた。


「私が浮気するとでも?」



「いーえ。愛されてるって知ってます」



にこにこと笑うと帯刀さんがさっと顔を朱に染めた。


「そういうこと、さらって言う・・・・・・?」


「え? わ……っ」


「奥方と仲睦まじくやや子もすぐに望まれそうだ、なんて言われてるの君は知ってるのかな?」


「え、子供!?」


「・・・・・・まだだから」


「へ?」

「まだそんなヘマしないから」



「ヘマ・・・・・・」


「ああ、勘違いしないでよ。私は。もう少しの間は君だけを愛していたいだけなんだから」





(愛の言葉と想いは一途なもの)
2012/8/25

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