遙か夢弐
□こころのかけら
1ページ/13ページ
「ねーぇ? 名無しさんお姉ちゃんはさ、お姉ちゃんになりたいと思ったことはないの?」
無邪気に吐き出された言葉に、私は寸の間つまってしまった。
「……やだな、ないに決まってるじゃない」
「あれ…名無しさんは電話代わらなくていいのか?」
「うん。だってもう何時間かしたら会えるしね」
「そっか。あ、ゆきのやつ絡まれて……っ! 瞬が行ったか」
「……」
ぼうっとナンパ男を撃退する瞬兄を見つめる。
どこまでもゆきだけを見ているその人を。
「…大丈夫か?」
「…え、何が?」
「……切ない顔、してる」
「え……」
困ったように笑う都に私は自分の顔を撫でた。
「あーあ。なんであんなやつがいいんだろうな」
「都、そういうわけじゃ……っ!」
「分かってるよ。冗談だ、悪かった」
「……それなら、いいんだけど」
「ん。ごめんな」
「……ううん」
軽く首を横に振る。
……どうしてこう、ままならないんだろうか。
ゆきと私は、双子のはずなのに。