遙か夢弐

□迷惑なのは
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「桂さん!」




ばっと抱き着くと桂さんはなんでもないことのようにすんなりと受け入れて私をぎゅっと抱き返してくれた。




「お前ら何してんだ!? 離れろ桂!!」




くわっと怒り出す龍馬にやっと目論見が成功したのか、と喜ぶ間もなく。



私は部屋へと連行されてしまった。




















「なんでお前さんはこう無謀なんだ?」





呆れたように、でもどこかいらついた様子で言われて私はぶすりとしたままそっぽをむいた。





「ほーう? そんな態度を取るわけか?」





ぐっと低くなった声に少しだけまずいかもしれないと思って私は小さく呟いた。





「……だって」




「なんだ?」




「だって、最近龍馬、お嬢お嬢って……私に構ってくれないじゃない」





ぷくりと頬を膨らませてそういうと、龍馬はきょとんとしてからぱぁっと微笑んだ。





「……なんだ、やきもち妬いてたのか」




「……っ!」





指摘されると恥ずかしくなって、私はばっと顔をあげた。





でも龍馬の嬉しそうな顔を見ると何も言えなくなって、泣きそうになりながら「だったら悪い?」と本当に小さな声を出した。





ああ、なんて可愛くないんだろう?





そうは思ってもそれが私で、可愛くない行動でしか構ってほしいと伝えられない自分がいる。






それなのに……龍馬はがばりと私を抱きしめた。




「ちょ!?」





「あー、もー! お前さん、可愛くて仕方がない! けど桂や帯刀に抱き着くのはやめてくれ、俺が困る! ていうか帯刀は女に不自由してないからいいけどな、桂は常に飢えてるから駄目だ!」






「はぁ!?」




な、何気に桂さんへの認識がひどいよ
龍馬……。





「やっぱお前さんが一番可愛い! お前さんみたいな彼女が持てて俺は幸せ者だなっ」








「〜〜〜〜〜っ!」




そんな話をしてたわけじゃない。





それなのに……嬉しくてたまらない自分がいた。






不安を全部とっぱらってくれた龍馬の服をきゅっと掴んで、赤い顔を見られないように俯いた。






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