遙か夢弐
□そんじょそこらの男より2
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「あ、美味い」
ぱくりと一口食べて都が呟いた。
「ほんと?」
「ああ。ほら」
ひょいと差し出されたスプーンにしばし固まって、顔が熱を持つのが分かった。
「どうした? ほら」
不思議そうに再度スプーンを差し出されておずおずと口を開く。
「……美味しい」
「だろ?」
に、と微笑まれて私は視線を下に落とした。
「……」
女の子同士、なんでもない行為のはずなのに、こんなに恥ずかしいのはなんでなんだろう?
「名無しさん? もしかして、具合が悪くなったのか?」
心配そうに顔を覗き込んでくる都に私はため息をもらした。
「……私、都が憎くなってきた」
「ええ? 私、何か気に障ることでもしたか?」
慌てた様子で身を乗り出した都に私は一つため息。
「ごめん、八つ当たり」
「はぁ?」
(「都がかっこよすぎるのが悪いんだよ……」)
2011/12/23.