遙か夢弐

□かわいい子……
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 城の一室に滞在するようになった、白龍の神子。



 彼女に全てを奪われた気になる。でも。










「ずっと……永の時を待っていた。私は彼女に会えることを……ずっと、待っていたんです」




「……よかったですね。天海さま」




 感情を波立たせることなく常に穏やかにあった天海さまが、今では嬉しそうにしたり腹立たしそうにしたり……感情をあらわにするようになった。






 それは私と一緒にいるときにはなかったもので…。




 私には、彼の心を引き留める術などない。






「天海さまは、白龍の神子をどうしたいんですか?」






「…私は彼女が欲しい。彼女が手に入れば……何も他にはいらいないんですよ」






「そう、ですか…」





 本心から、そう言っているのだろう。




 ずっと一緒にいれば彼に孤独を私が癒せるかもしれないと思っていた。




 でも天海さまの孤独を癒やせるのは白龍の神子だけなんだ。
 




「暗い闇の中にいたんです。でもある時あの光に出会った」




「……」





 なんて幸せそうな顔で白龍の神子のことをしゃべるんだろう……。




 私はそっと目をふせた。




 この人には、もう私は必要ないんだ。




 ……ううん、最初から必要としてたのは私だけだったんだ。









 そう考えるとすごく切なくて…悲しくなった。

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