遙か夢弐

□恋愛対象外の恋
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「まぁ八葉っていい男ぞろいだよな。顔だけは」

「顔だけ?」

「そ。性格はダメダメじゃん?」

「……そう?」

「そうだって! だって能天気だろ?」

(ちょ、俺のことか!?)

「それに朴念仁」

(……都)

「腹黒天然男」

(腹黒、天然? ……僕は自分が思ったことを素直に口に出してるだけですよ)


「単細胞」

(な……っ! おい八雲!)


「陰険眼鏡」

(ねぇちょっと。誰が陰険だって?)


「変態」

(ああ……今日もゆきちゃんはかわいらしい……っ!)

「エセ紳士」

(心外ですね)

「んで、頑固者」

(……俺は別に、頑固なわけでは……)





「ほら。中身は微妙だって! 名無しさん姉には釣り合わないよね。もっと大人でクールな人じゃないとさ」




「……そうね、たしかにまぁ……それぞれ魅力的なところはあると思うけど、恋愛対象じゃない、かな」




苦笑して答えると都が満面の笑みをたたえた。





「やっぱね! ダメだよ。変な男に引っかかっちゃ! 私たちが認めた男じゃないとね」

……どうも都には過大評価を受けているみたいだ。




ゆきも都に同調するようにこくこく必死にうなづいてる。




この子たちの期待は裏切れないな、と思いながら私は苦笑するにとどめた。



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